2010年09月16日

中医学と東洋医学の違い(2)

 傷寒論というのが、よくできた治療マニュアルで、症状を追っていくと、当てはまる処方に行き着く様にできています。極言すれば医者は、どの処方に、患者の症状が当てはまるかを選ぶことになる。実際、「小柴胡湯証」とか「葛根湯証」とかいう言い方がされています。どのような体の状態だから小柴胡湯が合うような症状が出ているのかまでは考えないで済むのです。この傷寒論をバイブルとする一派を古方派といい、日本の漢方の主流となりました。
 一方、鍼灸の方も、『難経』という本をバイブルとして、主に脈の状態を元に、使うツボを決める流派が主流を占めました。こちらも、何故そのような脈の状態になるのかを考えずとも、脈の状態を判別するだけで、治療ができます。
 日本で発展した漢方も、鍼灸も、理論よりも実践重視の傾向にあります。非常に繊細さもあり、治療法としては優れていると思います。しかし、問題は、理論が薄いために、応用が利かない点です。
 例えば、漢方の医者と、鍼灸師が同じ患者さんを診たときに共通の理論が無いために、お互いに情報交換をすることができません。
また、どのようなメカニズムで今の症状が出ているのかという判断をしていないので、患者さんに、病情に即した養生法を提示することが困難です。
(つづく)
posted by 院長 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学
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